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3. 導く発酵、整えない味

episode 3
導く発酵 整えない味
自然と向き合う “ひとしずく”の哲学

伊藤酒造の酒造りでは
発酵生きものとして尊重し 発酵を“導く”

発酵という目に見えない営みに寄り添い
土地の声に耳を澄ます
その姿勢が “今 この年だけ”の味を生む
日本酒のヴィンテージという可能性に
つながっていく

発酵は 生きている
管理ではなく 導く姿勢

発酵は 米と水と酵母が
自らの力で醸す 静かな営み

解放タンクによる自然発酵

伊藤酒造では 仕込みに
密閉しない「解放タンク」を使う

温度を電子制御するサーマルタンクと違い
その年の気温・米の個性・日々の変化
それら全てが “今 この年だけ”の味を生む

自然の空気・湿度・酵母・麹菌・温度の変化を
そのまま受け入れ 発酵が語りかけてくる声を
五感で感じ取りながら見守る それが
唯一無二の味の深みを生み出す 鍵となるのです

自然との対話
テロワールと向き合う

三重県産米・12マイルプロジェクト

伊藤酒造の自社銘柄で使う米は 全量 三重県産

さらに 蔵から半径12マイル圏内の圃場の
米に限定した「12マイルプロジェクト」で
地域風土と完全に連動したテロワールの表現も

智積養水と桜町の地質

蔵のある四日市市桜町は 鈴鹿山麓から湧く
智積養水がふんだんに湧き出る地

蔵が位置するのは 北緯34.57度 東経136.37度

古代の花崗岩層が広がるミネラル豊かな土地
この水を源流とする仕込み水を使用しており
この水と米 そして土地の記憶が
味に奥行きを与えている


味は整えず 引き出す
“旨さ”の定義

品質管理は“味覚”を軸に

伊藤酒造の酒はすべて限定生産
出荷においては 科学的検査だけでなく
杜氏自身が「旨い!」と
心から思えるかどうかが最終判断基準

米の底力を導く

「綺麗なだけの酒では、物足りない」
米の芯にある力強さ 発酵の奥行きを
そのまま生かし “導く”ことでこそ生まれる
「旨味の余韻」を大切にしています


時を味方につける
熟成とヴィンテージという魔法

育つ味 成熟する旨さ

瓶詰めの瞬間が完成ではない
冷蔵庫の中で静かに育つ味わいは
ときに予想を超えた表情を見せる
整った味より“育ちゆく味”にこそ 感動がある

醸造年度(VINTAGE)という価値

伊藤酒造では
日本酒にも“ヴィンテージ”の思想を導入

毎年 同じ味を再現するのではなく
その年の素材・気候・土地の声が生んだ
“唯一の味”を ボトルの中に記録し 楽しむ

これこそ自然の恵みを楽しむという事だと思う


整えすぎず 削ぎすぎない

今の時代 透明感のあるきれいな酒は多い
だが私たちは
“整いすぎてしまった味”では伝わらない
米の芯 発酵の響きを届けたい

そのため すべてのバランスを取りすぎない

すこし甘さが残る すこし香りが穏やかすぎる
それでも
「生きた味」が感じられるなら それを選ぶ

答えではなく 問いがにじむような味わいを
それが 私たちが求める“旨さ”のかたちである


毎年 同じ味を目指すのではない
その年 その米 その水が醸す “唯一の味”を尊ぶ
ワインのように 年ごとの味わいを楽しむ
ヴィンテージの思想を 日本酒に